祖父の影響を受け目指した歯科の道を全うしたい

私の祖父は学校の教師を定年まで勤めあげたのち、王子で歯科医院を開きました。
私が歯科医師を目指したのは、祖父の影響が非常に大きかったです。
大学院に進み、博士号をとった時には、祖父が「俺も博士号をとりたかったんだよ」と、とても喜んでくれました。

大学院を修了したのち、4年間を勤務医として過ごし、2001年に『ながぬま歯科医院』を開院しました。

父への想いを重ねた、訪問歯科診療

地域には幅広い世代の方が暮らしており、もちろんご年配の方も患者さんとしてよくご来院くださいます。
ご高齢になり入院等をすると、途端に口の中の環境が悪くなる傾向があります。実は、私の父がそうでした。
父は若くして政治の道に入りました。体力が弱ってきたことを自覚し、私にあとを継ぐように伝えられ、歯科医師との二足のわらじということになりますから、ずいぶんと悩みましたが、父はすでにずいぶん体が弱くなっていましたので、「ここで断ったら一生後悔する」と思い、北区区議会選挙に出馬することとなりました。
父はその選挙から間もなく、息を引き取りました。死因は、誤嚥性肺炎でした。選挙活動で忙しく、父のことをきちんとケアできなかったこと、歯科医師として何の助けもできなかったということは非常にショックなことでした。
私が今訪問診療に力を入れているのは、「もっと父のことを診てあげられたら」という想いを反映していると思います。
通院が難しくて口腔ケアを怠ると、歯周病リスクが高まり、細菌が誤嚥性肺炎の原因にもつながります。
介護施設でも病院でも、そしてお家でも、皆さんの楽しみは食事です。その楽しみがいつまでも続けられるようなお手伝いができればと思っています。

マイクロスコープを使った精密治療と予防歯科

当院では、マイクロスコープを用いた歯周治療をおこなっています。
肉眼では見えないところまで、歯石を完全に除去しています。また、マイクロスコープを使用した骨の再生療法もおこなっています。
失った骨が再生できるのですが、何年か経つと治療箇所を維持できなくなる方もいます。
これは治療の限界というよりもケアが徹底されてないことに原因があると考えられますが、予防は患者様のモチベーションが関わってくることですから、当院でもしっかりと予防の重要性についてお伝えするようにしています。

どんな優れた治療でも、健康な天然の歯には敵いません。
一生ご自身の歯で、おいしくご飯を食べるためには、小さな頃から予防の意識を高めることが重要です。
また、歯を治療された後は、もう2度と歯を削ることのないようメンテナンスを徹底していくことが必要です。

なんでも相談できる歯科医院を目指して

患者さんとお話しするときは、専門用語は使わず、よりわかりやすく伝えることを意識しています。
ご自身がお口の中のことを理解されていないことには、治療はできません。歯科治療は歯科医院と患者様が一緒に治療のゴールを目指す姿が理想です。
そのため、模型や説明ツールを用いながら、患者さんにその都度確認をしながら治療を進めています。

とはいえ、長く通ってくださっている患者さんとは治療の説明よりも世間話のほうがメインになってきています（笑）。
私としては、歯医者であると同時に、人と人の対話が大切だと考えているので、好ましいと思っています。
昔からの馴染みの患者さんも高齢の方が多くなってきました、地域医療に関わるものとして、当院は相談があれば必要な人につないでいくという役割も担えたら良いなと考えています。 「お腹が痛いんだよね」とおっしゃれば、お医者さんを紹介していく。なんでも話せる場所としていきたいというのが、私の望む姿です。

これから受診される患者さんへ

当院では、歯科衛生士によるガムマッサージを提供しています。私がこのケアをお勧めするのは、とにかく気持ちが良いんです。
お口回りをマッサージすることで予防にも効果があり、なによりその気持ちの良さがクセになり、クリーニングの度にご希望される方も増えてきています。
「歯医者を痛いところ怖いところではなく、気軽に訪れることのできる場所」にしていきたいと思っています。その垣根を少しでも下げれるよう、あらゆる努力を積み重ねていきたいと思います。